エマ-8巻-

本編は7巻で終了しているが、そのままコミックビーム誌上で連載された外伝の短編が一冊にまとまった。
珠玉の作品は、やはり『夢の水晶宮』前後編。
ストーリーは読めばそのまま。文句も解説もいらないんじゃないかと手放しで絶賛。
エピローグのまとめ方はもう悶絶。

と言うことで、細かい技術的にかっこいいと思ったことを。

基本的に、森氏のコマ割は、きっちりとしている。
四角形で形成された、理路整然とした割り振りになっているが、
前編において、それがいつも以上に強調されていたように思える。

おそらく意図してのモノだろうと思うし、それがあるからこそ、後編に入っての水晶宮の見開きや、水晶噴水の大コマが映えてくるのだろう。
前編において、小さな画一的なコマ割を使うことで、当時の大英帝国における一般庶民の暮らしを暗喩し、後編の水晶宮の非日常性をよりいっそう際だたせる役を担わせているのだ。
単行本44ページから45ページ、
ダグの「ケリー!!、見ろよ!!」の台詞に導かれるケリーの視線に入る水晶噴水は、白と黒しか使われていないと感じさせないほどの美しさを持っている。