【読む見る】ぼくらのよあけ(2)

ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンKC)

今井哲也 『僕らの夜明け』(2)

 2010年と2038年の少年少女が出会った「彼」を再び宇宙に返すチャンスはたった一度。
 空想科学で、ジュブナイルで、ボーイミーツガールで、コドモとオトナの夢物語で、友達の物語でと、美味しいところをコレでもかつ惜しげも無く詰め込んだ健全小学生SFまんが『ぼくらのよあけ』の2巻。完結編。
 6月の末に1巻を読んでから待ちに待ち続けた5ヶ月間。アフタヌーンの連載をチェックするのを我慢してまとめて一気に楽しみました。小学校の夏休みって、なんでこんなに夢いっぱいなんだろうなあと、遠い目をしたりもしたくなるノスタルジア(作品世界的には28年後だけど)が襲いかかってきて読んでいるマンガの画質が悪くなってくる感じがしました。泣いてなんかいません。
 1巻が『起』とすれば、2巻はまさに『承』から『結』まで一気に駆け上るスピード感。それでいて、けして急ぎすぎない丁寧さ。2巻、たった10話しかないこのもどかしさは、僕らが子供の頃に抱いた、夏休みが終わって欲しくない感覚そのものなんじゃないかと。そんな読了感。
 それにしても、最終話のゆうまとナナコの会話が物凄く胸に響くものがあったりします。いや、ナナコほんとにいいロボットだよ。ナナコのセリフ「人間はウソをつけるのにつかないからすごいんデスよ」ってのがもうたまらなく愛おしいのです。
 
 それはそれとして、メインストーリーのまさに「サブ」で進むサイドストーリ的な5年女子の話の収束してゆく様が個人的に好きです。まずい方向に行きそうだったのを押しとどめた弟くんのセリフが素晴らしかった。