山川直人2作品まとめて

コーヒーもう一杯-3巻-

山川直人を知らない者は幸いである。なぜならば、あなたは今知ることができたからだ。

コミックビーム誌上で連載されている山川直人『コーヒーもう一杯』の第三集。

”吟遊詩人”たる山川の筆の力を今作も遺憾なく発揮している。

「コーヒー」の琥珀色の魔力は、画かれた街角を、読者それぞれの、どこか懐かしい街角に変えてくれる。
山川直人の画く「僕らの懐かしい街」は、いつか訪ねた、そしていつか訪ねるであろうほろ苦い人生の一幕の舞台。
サイフォンから、ドリップから、自動販売機から。
紙面からのコーヒーの香りを楽しみながら、マンガを読む幸せをかみしめる。

ナルミさん愛してる その他の短編

3巻と同自に発刊。
かつて、ヤングコミック誌上で連載され、単行本化→絶版という道をたどった幻の名作を再単行本化。

一般に、連作短編集というと、少なからず外れの会、と言うモノが存在するのだが、本作に限って言えば、そんな話は単なる俗説だと言わざるを得ない。
1999年から2002年にかけての連載、こんな名作を気づくことのできなかった自分がひどく悔しいと、久しぶりに思った。