日別アーカイブ: 2009年10月15日

【読見】乙嫁語り


森薫 『乙嫁語り』 1巻

 公式発売からフライングで入手していたので、公式発売日にある15日で紹介。
 季刊誌『FELLOWS!』の創刊から連載している『乙嫁語り』の第一集。そもそもFELLOWS!は全部買ってるし、保管してあるから単行本の内容に関しては目新しい物はなかったのだが、やはりカラーの表紙と、巻末の作者近況マンガそして、誰か使った人はいるのか、と言うアンケートはがきのために購入。15日発売のところ、水曜日に本屋に行ったら売っていたのでさくっと購入。
 中央アジアを舞台にした草原と嫁と馬とその他いろいろな物語。作者の書きたい物がこれでもかと詰まった作品。巻末漫画で「明日死んでも悔いのないキャラ作り」と宣言するほどやりたい放題。でも、そこが重要なんです。
 コミックナタリーの特集で、その作画風景が語られているのだけれど、1コマ15分以内で(書き込みすぎ防止)とか、結局1ページ書くのに4時間かかるとか、やはり、描画にかける熱意は尋常じゃないなと感じます。

コミックナタリー特集 Power Push

 氏の前作『エマ』でもそうなのだけれど、確かに主人公という形で1人の人物を中心に据えてはいるが、作者が描くのは、その主人公を取り囲む【世界】だ。そしてそれを事細かに表現する。衣装、装飾品、人々の生活、仕事、家族、自然 …etc
 主人公が【いる】世界、こそが、森薫の描く作品の魅力だと僕は考える。世界に対して異端であることで目立つ主人公もいるのだが、森薫の作品では【世界】そのものを主役とすることで、人々を際立たせる。
 森作品を読むとき、僕らはその【世界】を読んでいるのかもしれない。