秋★枝 『純真ミラクル100%(5)』
5巻で最後でした。
4巻でのどろどろぶりをどうするのかなあと思っていたら、1巻で綺麗にまとめるところが素晴らしい。
まさにタイトル通りの、純真な奇跡。100%の着地でした。
登場人物それぞれが、いろんな思いを抱きながら、ちょっとだけ未来に進んで、ちょっとだけ幸せになれる。
ラストシーンで笑っていられる漫画は幸せの漫画と再確認出来る、納得のエンディングでした。
中村尚儁 『1/11-じゅういちぶんのいち-(1)』
JSQでなんとなく第一話を流し読みした時の違和感は、アフタヌーンの四季賞だったか。
いかにもジャンプ臭くない、講談社系の流れはそうゆうわけなのねと。
タイトルの11とはイレブン、つまりフットボールの1チームの人数。
基本的には一人、つまり個人技が重要なんだが、その個人も、11人いる中での一人をだということを忘れてはいけない。フットボールとはそうゆうスポーツなのだ。
とういことを前提に、フットボール的要素は所謂話の外枠を彩るガジェット。話の根幹は、まっすぐ純粋な青春ドラマだったりする展開でした。
”青春”という生き方の羅針盤として、フットボールがそこにある。
そういった話の作り方、大好きです。
野口芽衣 『東海レトロスペクティブ』
世間一般で考古学といったら、『インディ・ジョーンズ』か吉村作治先生なんだよなあという今日この頃デス。いかがお過ごしでしょう。
とまあ僕も、大学入るまではそんなイメージが半分ほどだったわけで(もう半分は『マスターキートン』でなんとなく地味と)、授業で習った考古学の地味さ加減といったらもう。
結局歴史学に逃げた僕。文書検証の方がらk(ry
そんな所謂歴史学士くずれの僕としては、考古学を題材にした作品が出ているとなればほぼノータイムでレジ直行なわけです。
もやもやした高校2年の「ぼんやりとした将来」の中で、偶然に出会った考古学発掘調査の一行と過ごす日々に刺激され「道」を見出す少年のお話。
今でこそ、こういった文系薀蓄系の作品は氾濫しているものの、僕が高校でもやもやしていた頃はそんなモノは殆ど無く、こんな形で様々な世界への入り口が「マンガで」出来る昨今の高校生が羨ましいとか何とか。
ということで、この作品も僕の中の『大事なことはみんな漫画で教わった』リストに追加だ!
倉敷保雄/あらゐけいいち 『ふたりサッカー』
サッカーをCSで見るくらいにサッカー好きにとって、倉敷保雄と言う名前はもはや外すことのできないファクター。
絶叫と日本人と名前連呼の民放実況しか知らない実況文化にとって、実況と実況の合間に挟まる薀蓄とくだらない世間話とのミックスが衝撃的。懐かしの金子/土居実況のアルゼンチンリーグと並んでスカパーの名物実況に数えられるだろう。サッカーの番組見てるのに、デカレンジャーとかオーレンジャーの話がポンポン出てくるのはなにかおかしいだろ、と。
そんなサッカーオタク(サッカー的にもサブカル的にも)な倉敷氏と『日常』で知られるあらゐけいいち氏との奇跡(というか異形)のコラボ。倉敷氏のサッカーコラムにあらゐ氏の漫画を組み合わせたアニマル連載の単行本化。と言うかアニマルに載っていたのを見て違和感バリバリだったり。
結局11月はなんだかんだで入手した漫画がたくさん。
宮成 樂 『晴れのちシンデレラ(3)』
月末発売で11月最大注目のひとつでした。
年に一冊、もはや年末近辺最大の楽しみの一つと言っても過言ではない。
今年もハルさんはスーパーお嬢様であらせられました。
相変わらず、誰ひとりとして悪意の存在しないスペシャルにピュアなワールド。
なんど読んでも心の洗われるエピソード満載で、巷のヒーリングスポットなど足元にも及ばない心の浄化作用は3巻になってキャラクターが増加しても損なわれることがない。
いやむしろ1巻ごとに増えてゆく。
とゆうことで、2巻のおまけ書き下ろしで登場したあたる君の学友’sがレギュラーに。
そのなかでも、あたる君にほのかな恋心の紅さんがホームラン。
紅さんの友人みずきさんも短髪メガネの記号でバッチリ好感度(誰のだ)。
ご学友’sといえば、三条(弟)くんのさりげない気遣いもたまらないところ(23ページ左)。
これでまた一年戦える。そんな作品。
え、もう10月も半分を過ぎたですって?
時の経つのが早いのか、僕の動きが遅いのか。
『天狗の子』とか『うさぎドロップ』とかちらほら買っているけれど、特に目がついたところで、とりあえず前半で読んだあれこれなどを。
太田アモレ 『鉄風』 (3)
プロのジムに入って壁に当たるかと思ったらますます伸びがひどいことになっている主人公の歪み加減が気持ちいい。
そんなある意味特殊シチュエーションで進む格闘漫画。相変わらずグッドアフタヌーン一番押し。この巻もたまらないセリフ回し。裏表紙のセリフなんて、主人公が普通吐くセリフじゃない。じゃないけどそれがまっすぐ歪んでるからとてもカタルシス。
新キャラも色々黒そうで(偏見)ますます目の話せない怪作。
宮原るり 『みそララ』 (4)
盛り上がってまいりました。作品内も作品外も。
作者の作品世界のクロスオーバーで見せる大人バージョン麦みそに色々な理想型を見た。実態は酷いものだけど。
なにはともあれ、お仕事をすることに希望を持たせるストーリー。こうありたいなあ。無理だろうなあ。やっぱり無理だった、という阿鼻叫喚がマンガ読み社会人のアチラコチラから聞こえてくる無常観といったらもう。
石黒正数 『木曜日のフルット』 (1)
『ネムルバカ』のスピンオフのようで全く違う作品というかなんというか。
やっぱり僕は鯨井先輩が好きだ。うん、このダメ人間何とかしないと的に好きだ。
ヤスダスズヒト 『夜桜四重奏』 (9)
9巻まで来て更に増えるキャラクター。カルテットどころじゃないぞとかそういう問題でも無し。
ヤンデレ→デレデレ(主にシスコン的な意味で)の転換っぷりが見事というかもうダメだ。
いやあ、いいものです。
で、その裏で密かに主人公A(影が薄い)まわりに進展が出始める。というか出番が少ないというか、美味しいところだけというか。
美水かがみ 『らき☆すた』 (8)
ダラダラと惰性的に読んでいたけれど、第一期生が卒業したあとの高校生組が見事だった。特に隠れオタク関連の流れが見事すぎてさしぶりに読み返すことに。
初々しいというか、アルアルというか。とりあえずみんないい子ということは確か。
長谷川裕一 『マップス ネクストシート』 (11)
前作よりも風呂敷がでかい・・・・・・純粋に2倍だw
ますます大きくなるスケールと、長谷川節全開の前への進み方に、もはや伝統芸的な安心感。伏線の張り方が上手いのか、回収の仕方が上手いのか、判断をつけづらいくらいに面白い。やはり、中盤から終盤(終盤だよね?)にかけての長谷川漫画の面白さは群抜きということがよくわかる。
番外編
岡崎武士 『レッツ☆ラグーン』 (1)
不覚! 翻筋斗打って頭から地面に落ちるくらいに不覚ッ!
まさか9月に岡崎武士漫画が出ていようとは。というか月刊ヤングマガジンなんてチェックしてないよ!
90年代に中二病を刺激された僕らにとって、『精霊使い』のインパクトは鷹氏隆之の『風使い』と並んで「4大+α の精霊使いつええぇぇ」を植えつけたエポックメイキング的な作品。
その後、肺を病んで漫画家活動から引いていたらしいけれど07年くらいから活動再開(KCデラックスで『精霊使い』の再刊行もしたし)したようで、活動再開後の初単行本。帯の貞本先生の例の会話風な推薦文がまさに当てはまるインパクト。
今後楽しみな作品がまたできてしまった。
漫画がある限り僕死ねないなあ。