【読む見る】ぼくらのよあけ(1)

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)

今井哲也 『ぼくらのよあけ』 (1)

 溜息の出る読了感。
 起承転結の『起』に過ぎない第1巻を読んだだけで、こんなありふれた感想しか抱くことのできない自分が悔しい。
 久しぶりの、そう、本当に久しぶりの完璧な導入。

 2038年のジュブナイルは、実は僕らの過ごす2010年代と繋がっている。
 ”宇宙船”との約束を果たすべく、3人の少年が紡ぎ出す街の物語は、一人の少女と、そして大人たちを巻き込む。

 僕らが子供の頃って、もっと未来は希望にあふれていたはず。
 あふれて”いた”、違う、今もまだ世界は希望にあふれているけれど、それを見つけるすべを僕らは忘れてしまっているだけ。今でもそう、ただ空を見上げるだけでいい。夢も、希望もそこにある。そんな気持ちを、強く思い出させてくれる素晴らしい作品。
”ジュブナイル” はヤングアダルトのためだけの作品じゃない。1巻目を読んだだけど、それを思い出させてくれたというだけで、『ぼくらのよあけ』は僕の中で、得難い物語に昇華した。